歯科医師として捉える睡眠時無呼吸症候群の重要性
こんにちは。
川崎市中原区にある仁愛会歯科武蔵小杉クリニックので秀島です。
《睡眠時無呼吸症候群(SAS)》みなさん名前は聞いたことあるかと思います。
よく結構いびきが酷いからそうかもなぁーなんて話を聞きますが、
いびきがある=睡眠時無呼吸症候群(SAS)ではありません。
パートナーがいる方などはチェックしてもらいましょう。
※以下簡単な見分け方は中枢型と閉塞型(OSAS)のうち圧倒的に多い閉塞型(OSAS)についてです。
①いびき(呼吸)に規則性があるかどうか
まずはこれが大事です。
いびきだけであれば規則性がありますが、閉塞型の睡眠時無呼吸では気道の閉塞を伴うた
め呼吸が乱れます。また名の通り呼吸が止まったりする時間が発生します。
確定診断にはポリソノグラム(PSG polysonogram)という脳波や呼吸流量など詳しく調
べる必要がありますが、可能なら、呼吸が止まったその時にパートナーの
お腹を見てください!
腹部運動があるのに無呼吸。これは呼吸努力があるにも関わらず気道が閉塞しているため
呼吸ができていないことを表しています。すぐにパートナーを起こしましょう!
無呼吸状態が続くと低酸素状態になり覚醒を促します。そうなる前に起こして呼吸させま
しょう。
検査では睡眠時の無呼吸低呼吸指数(AHI apnea hypopnea index)を調べますが
AHI=(無呼吸数+低呼吸数)÷睡眠時間で出しますが
AHI≦5 正常
5<AHI≦15 軽症
15<AHI≦30 中等症
30≦AHI 重症
となります。
OSASは太っている方に多いというイメージですが
BMIが30以上の肥満者が全人口の約20%に達する米国と2〜3%にすぎない日本で
有病率に差がないんです。ただ太っていることは発症リスクを上げますが。
ではなぜ日本人は米国と同程度の有病率なのかというと骨格的な問題があります。
痩せたアジア人の典型的なOSAS患者は専門的に言うと
long face ,small jaw,facial axis(FX)の平均値は、白人が90°であるのに対して日本人では
86°と小さく、人種的に日本人は白人よりlong facenなんです。←(ここだけ読めばOK)
しかし先ほど書いたように太ってることもリスク因子にはなるので、
体重10%増加→AHI32%上昇
体重10%減少→AHI26%低下 します。
ちなみに今更ですが
無呼吸とは少なくとも10秒以上の呼吸停止状態
低呼吸とは気流が半分以上低下し、同時に酸素飽和度が4%以上低下するか、
あるいは睡眠から覚醒する事です。
ここからが本番です!
歯科では当然みなさん診療台に寝てもらいお口をあけますよね。
その時に我々にはこう見えています。
マランパチの分類です。
喉の奥の見え方が全然違いますよね?
是非鏡で一度確認してみてください。右側2つの見え方の方はOSASリスク高いです。
右に1つ見え方がうつる度に無呼吸のリスクは2倍になります。
AHIは5以上増加すると言われています。
普段治療していると怪しいなと感じる方がいますが、その時はいくつか質問&観察
します。
①血圧は問題ないか?無酸素状態が続くと大循環系血管が収縮するため血圧が上昇します
SASはアメリカ高血圧ガイドラインで高血圧の独立した原因として特定されています
②横顔チェック!下顎の大きさが問題ないか確認します。
③体型もチェック!(何となくチェック済みの事がほとんどですが)
④就寝時のエピソードを聞く(誰かに指摘された事がないかどうか)
⑤日中の眠気があるか?(日中の過度な眠気はかなり怪しいです)
特に⑤は大きな事故に最近も繋がっているため社会的な問題になっています。
新幹線の運転手が居眠りをしたりと記憶にある方もいるのでは?
怪しい患者さんに強く検査を進める事もありますが、その理由は中症、重症患者さんの
8年後の生存率が63%まで下がるというデータがあるからです。
寝てる時少し呼吸止まってるくらい。。などと言ってられないかもしれませんね。
仁愛会ではOSASの方用のマウスピース作製を行う事で治療しています。
(重症の方はマウスピース治療だけでは治療不可です)
特に現代人は顎がどんどん小さくなる傾向にあり、下顎の中で舌やその他の組織が
行き場を無くしてしまっています。その結果気道が詰まりやすくなっているのです。
将来的にはOSASは増加するでしょうし、歯科医師として見逃してはいけない疾患だと
感じています。
マウスピースも各種ありますが、
保険で作るもので十分だと思います。
ただ保険で無呼吸用のマウスピースを作製するには医科の診断書が必要ですので、
しっかりと検査をしてきてもらいます。
ちょっと心配だなという方や、パートナーが寝ている時に呼吸が止まっている!
なんて方は一度、相談してみてください。
カテゴリー:スタッフブログ ,武蔵小杉
投稿日:2018年12月11日