入れ歯は取り外しの出来る人工の歯で、歯の一部を失った方のための「部分入れ歯」と歯の全てを失った方のための「総入れ歯」に分けられます。むし歯や歯周病で歯を失ってしまい、そのまま放置した状態でいると様々な問題が出てきます。
- 食べ物が噛み砕けなくなる
- 表情が変わる・顔が歪む
- 顎の力が弱くなり、体のバランスも悪くなる
- 嚙み合わせが変わり悪くなる
- 発音がしにくくなる
- 認知機能が低下する
- 噛む機能が低下することで必要な栄養が不足し、病気のリスクが高まる
入れ歯は咀嚼機能の回復、発音機能の回復、審美性の回復という3つの役割があります。入れ歯を使用することはいつまでも健康で自分らしく輝いて生きるうえで、とても大切な役割を担っています。
義歯のメリット・デメリット
入れ歯 |
メリット |
治療が比較的短期間、手術不要、広範囲の欠損にも対応可能 |
デメリット |
食べ物が挟まりやすい、硬い物が食べにくい、バネなど見た目が良くない、手入れに手間がかかる |
入れ歯の保険と自費の違い
入れ歯には保険が適用されるものと自費で賄うものがあります。
保険の入れ歯 |
メリット |
安価、修理が容易である |
デメリット |
素材がレジンに限られる、壊れやすい、見た目が悪い、違和感がある、咬む力が弱い |
自費の入れ歯 |
メリット |
素材が豊富な種類から選択可能、しっかり咬める、機能性が高い、見た目が良い |
デメリット |
高価、製作に時間がかかる、修理が困難な素材がある |
保険の入れ歯は治療費が安いことがメリットですが、自費のものと比べると耐久性や見た目で劣ってしまいます。また、基本的にレジン(プラスチック)製なので、義歯に厚みがあり違和感を感じやすく口の中で熱が伝わりにくいデメリットもあります。一方で、自費の入れ歯は機能に優れ、見て目や素材が優れている点が大きなメリットになります。しかし、費用が高価になりやすく、修理が難しい点には注意が必要です。
入れ歯の種類について
① レジンのみ使用した入れ歯(保険適用)
メリット |
保険適用のため比較的安価に製作可能 |
デメリット |
素材がレジン(プラスチック)のため食べ物の熱い・冷たいがわかりずらい、そして入れ歯の厚みもある為、違和感・異物感があり会話もしにくいことがあります。耐久性もレジンは衝撃によっては割れやすかったり、汚れが付きやすかったりします。 |
② 金属とレジンを使用した入れ歯 (保険適用外)
メリット |
レジンと金属を組み合わせた入れ歯は薄くて軽く、丈夫な入れ歯です。金属自体強度が高いため、薄くても壊れにくく、食べ物の熱さ・冷たさも感じやすく、金属部分に汚れが付きにくいため清潔を保ちやすいです。 |
デメリット |
レジンの部分は修理出来ますが、金属部分が破損した場合は修理が困難です。保険の入れ歯より高価になります。金属にアレルギーのある方には使用できない場合があります。 |
③ 見た目がよい入れ歯(金属部分がほぼ見えない入れ歯) (保険適用外)
メリット |
歯に引っ掛けるバネ(金属)がないため、見た目がとても良い。また弾力のある樹脂を使用しているので壊れにくく、違和感も少ないです。 |
デメリット |
失った歯の本数が多いと製作できないことがあります。この素材は修理が困難な場合があります。 |
④ 磁石を付けた入れ歯(保険適応外)
メリット |
磁石の力で入れ歯を支えるので、入れ歯の出し入れが容易です。そして入れ歯が浮いたりガタついたりはあまりしません。 |
デメリット |
磁石は歯の根の部分に取り付けるため 歯の根が残ってないと製作出来ません。また、MRIなどの検査によっては撮影前に磁石を取り外さないといけない場合があります。 |
⑤ インプラントに固定する入れ歯 インプラントオーバーデンチャー(保険適用外)
インプラントオーバーデンチャーは外科手術によって顎の骨に埋め入れた2~4本のインプラントに入れ歯を固定する治療法の事で、アタッチメントの働きをする部品を使ってインプラントと入れ歯を連結することから「アタッチメント義歯」とも呼ばれています。
メリット |
入れ歯に安定感がある、しっかり噛める、会話もしやすい、取り外しも容易、インプラントの本数が少なくすむ、見た目も比較的良い。 |
デメリット |
入れ歯を支えるため2本以上のインプラントを入れる必要がある。治療費が高価(インプラント費用+入れ歯の費用)になり、治療期間も長期になります。 |
入れ歯の注意点
入れ歯の清掃の必要性
入れ歯にも歯と同じように食べかすやプラーク(歯垢)がつきます。毎日のお手入れで清潔にしておくことが大切です。お手入れが不十分の場合に起こるトラブルとして、カビの一種であるカンジダ菌が入れ歯に付着して、口臭が発生したり、義歯性口内炎の原因になる。入れ歯に色素や歯石が沈着しやすくなる。 部分入れ歯の場合では、クラスプなどが引っかかる歯がむし歯や歯周病になりやすくなります。
入れ歯の取り扱いの注意点
- 入れ歯は指や爪で出し入れをしてください。歯で噛んで入れたりとると変形の原因になります。食後に必ず入れ歯をはずして清掃しましょう。
- 入れ歯を洗う時は、落として破損したり排水口に流さないようにします。義歯用ブラシを使用して、就寝前は義歯洗浄剤で殺菌洗浄しましょう。
- 夜寝るときは、清潔にして入れ歯をつけて就寝しましょう。(入れ歯をつけている時とつけていない時のかみ合わせが異なるため)
痛い場合や飲み込んでしまう心配がある方は乾燥させないように保管しておきましょう。
- 入れ歯が壊れた時は、ご自身で瞬間接着剤等で修理しないでお持ちください。修理が困難になります。
バネがゆるい場合もご自身で曲げたりしないでください。バネが折れたり変形して適合が悪くなります。
- 入れ歯がゆるい時は義歯安定剤を使用せず、歯科医院へ調整してもらいましょう。